稀な肺非定型抗酸菌症(Mycobacterium xenopi)の1切除例
川村 光夫1) 草なぎ 芳明2) 佐藤 幸美2) 伊藤 貞男2) 本間 光信3) 下出 久雄4)
〒010-0012 秋田市南通りみその町3-15 1)秋田中通り総合病院呼吸器外科 2)同 呼吸器科 3)市立秋田総合病院第3内科 4)病体生理研究所
症例は42歳,男性.20年以上にわたる多量の飲酒歴があり,胸部X線写真上,右肺尖部に空洞影を指摘され,肺結核の診断で前医入院となった.入院時の喀痰結核菌検査より塗抹ガフキー2号,8週培養(+)25colonyが検出され,生化学的およびDNA-DNAハイブリダイゼイション法による同定検査によりMycobacterium xenopiと同定された.そこでINH, RFP, EBの化学療法が5年間施行されたものの,空洞影は軽度縮小したものの排菌止まらず手術目的にて当科に入院となった.1995年9月右肺上葉切除を施行し,クラリスロマイシンを加えた化学療法が追加された.術後18カ月の現在,再発なく良好な経過を辿っている.Mycobacterium xenopiは本邦では稀な非定型抗酸菌の1つであるが,病巣が限局していて化学療法が奏功しない時は外科治療も考慮すべきである.
Received 平成9年5月22日
日呼吸会誌, 36(1): 86-89, 1998