短期間に自然寛解した肺好酸球性肉芽腫症の1例
山脇 功1) 河谷 清実1) 宇野 博子1) 玉置 淳1) 鏑木 孝之1) 大貫 恭正2) 永井 厚志1)
〒162-0054 東京都新宿区河田町8-1 1)東京女子医科大学第1内科 2)同 第1外科
短期間に自然寛解した肺好酸球性肉芽腫症の1例を報告した.症例は23歳,男性.乾性咳嗽と微熱が出現し,胸部X線写真上両肺びまん性の網状,粒状影を指摘され当科受診となった.胸部CT及び高分解能CTでは上中肺野優位に壁の厚い小嚢胞と粒状影を認め,肺好酸球性肉芽腫症(肺EG)が疑われた.気管支肺胞洗浄液では主にリンパ球と好酸球が増加していたがCD1細胞の増加はなかった.症状出現から入院までの約4カ月間は無治療で喫煙も継続していたが,この間に症状はほぼ消失し画像上嚢胞壁の菲薄化と粒状影の減少も認められた.入院時に施行した経気管支肺生検で特異的所見が得られず,胸腔鏡下肺生検で軽度の好酸球浸潤を伴うCD1,S-100蛋白陽性の組織球系細胞の増生からなる肉芽腫と線維化瘢痕巣を認め肺EGと診断した.その後禁煙のみで経過観察したが,約1年間症状がないことから短期間に自然寛解したものと考えられた.
Received 平成9年6月9日
日呼吸会誌, 36(1): 90-94, 1998