Isoniazidによる薬剤性間質性肺炎の1例
遠藤 健夫1)4) 斎藤 武文1) 中山 美香1) 大瀬 寛高1) 渡辺 定友1) 玉井 誠一2) 長谷川 鎮雄3)
〒319-1111 那珂郡東海村照沼825 1)国立療養所晴嵐荘病院内科 2)防衛医科大学校検査部病理 3)筑波大学臨床医学系呼吸器内科 4)現 茨城西南医療センター病院内科
症例は55歳の男性.肺結核の診断でisoniazid(INH),rifampicin(RFP),ethambutol(EB),pyrazinamide(PZA)の投与開始3週後より,発熱,乾性咳漱,呼吸困難が出現した.胸部X線上両肺網状粒状影,右胸水が出現し,Gaシンチで両肺全体に強度のGa集積を認めた.経気管支肺生検では胞隔炎の所見が認められ,抗結核剤による薬剤性間質性肺炎が疑われた.薬剤リンパ球刺激試験の結果は,4剤いずれも陰性で原因薬剤の確定には至らなかった.薬剤をすべて中止,副腎皮質ステロイド剤の投与により自覚症状,画像所見の速やかな改善が認められた.抗結核剤をstreptomycin(SM),levofloxacin(LVFX)に変更したが,結核に対する治療が不十分であるため,薬剤性肺傷害の報告が少ないEB,RFP,PZAの再投与を慎重に行なった.しかし,肺炎の再燃は認められず,臨床経過から原因薬剤はINHと考えられた.
Received 平成9年6月26日
日呼吸会誌, 36(1): 100-105, 1998