気胸を合併したSwyer-James症候群の1例
永田 一洋 岩崎 吉伸 横村 一郎 上田 幹雄 橋本 進一 溝渕 一哉 有本 太一郎 中川 雅夫
〒602-0841 京都市上京区河原町通広小路上る梶井町465 京都府立医科大学第2内科
症例は20歳,男性.既往歴には幼小時に反復する肺炎がある.突然の呼吸困難にて高度の右気胸を発症し当科に入院した.気胸回復後の胸部レントゲン写真では,右上肺野の透過性は亢進し,high resolution CTでは,同部位にlow attenuation areaを認め気腫性変化と考えられた.肺血流シンチでは,同部位の著明な血流低下を,また換気シンチでは換気の低下と洗い出しの遅延を認めた.気管支造影では右上葉の気管支が円柱状に拡張し,十分な造影剤の注入にも関わらず末梢での肺胞は造影不良であった.肺動脈造影では右上葉の肺動脈は著明に狭小化していた.以上よりSwyer-James症候群と診断した.本症例ではSwyer-James症候群による嚢胞性変化と同部位の組織の脆弱性が気胸を引き起こしたと考えた.
Received 平成9年3月27日
日呼吸会誌, 36(2): 171-175, 1998