胸水中に骨髄腫細胞を認めたBence-Jones蛋白λ型多発性骨髄腫の1例
白井 拓史 橋爪 一光 笠松 紀雄 中村 晃 山谷 英樹 半沢 儁1) 籾木 茂1) 佐々木 一義1) 矢野 邦夫2) 小澤 享史3)
〒432-8002 静岡県浜松市富塚町328 県西部浜松医療センター呼吸器科 1)同 胸部外科 2)同 感染症科 3)同 病理
症例は53歳,女性.平成6年1月胸痛にて近医を受診し,肋骨骨折と診断された.胸痛が続いたため,骨粗鬆症を疑われ精査をしていたが,経過中に胸水の出現および,呼吸困難の増強を認めたため,平成6年7月当院に精査入院となった.胸水細胞診にて細胞表面マーカーCD38,CD56陽性の骨髄腫細胞を認め,血清蛋白の免疫電気泳動よりBence-Jones蛋白λ型多発性骨髄腫と診断した.胸水貯留を来す多発性骨髄腫は稀であり,本邦例の文献的考察を加え報告する.
Received 平成9年4月1日
日呼吸会誌, 36(2): 176-181, 1998