空洞病変と経過中に気胸を伴ない自然軽快しているサルコイドーシスの1例
飯田 桂子 良永 倫子 河本 定洋 藤井 毅 加勢田 誠 阿部 航 松原 祐一 白井 亮 川上 かおる 門田 淳一 河野 茂
〒852-8102 長崎市坂本1-7-1 長崎大学医学部第2内科
症例は32歳女性.検診の胸部X線写真で全肺野に網状粒状影及び両側上肺野の多発浸潤影を指摘され,胸部CTで両側上肺野の多発浸潤影及び右上肺野の空洞病変,縦隔,肺門リンパ節腫大が認められたため,近医を受診した.結核の診断を受け,6カ月間抗結核薬を投与されたが,空洞の拡大がみられたため当科へ紹介,入院となった.ACEは正常範囲内であったが,リゾチームは13.6μg/mlと高値を示し,気管支肺胞洗浄液所見ではリンパ球の上昇がみられCD4/CD8比が高値であった.経気管支肺生検にて非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め,サルコイドーシスと診断した.退院3カ月後の経過観察中に気胸を発症したが,無治療にて軽快した.空洞は薄壁空洞となり,診断より約3年の経過で消褪傾向を認め,自然軽快している.
Received 平成9年4月25日
日呼吸会誌, 36(2): 197-202, 1998