耳下腺転移にて発見され,経過中に下垂体,脊髄に転移を来たした肺小細胞癌の1症例
高次 寛治 小牟田 清 保仙 直毅 北田 清悟 飯田 慎一郎 西原 謙 木村 亮 前田 恵治 五十嵐 敢
〒543-0042 大阪市天王寺区烏ヶ辻2-6-40 大阪逓信病院第2内科
症例は48歳女性.左耳下腺腫脹を主訴に平成7年1月当院耳鼻科を受診.針生検で小細胞癌と診断され精査目的で当科を紹介された.胸部X線写真で右肺門部に腫瘤陰影を認め,気管支鏡検査施行.その結果,肺小細胞癌(T4N3M1,stage IV)と診断された.CDDP,VP-16による化学療法を施行したが,効果は認められなかった.経過中に両耳側半盲,外転神経麻痺を来たしたためMRIを施行したところ,下垂体転移が明らかになった.また,左下肢の疼痛,痺れを来たし脊髄のMRI施行.その結果,腰髄(L1/2,L4/5)への転移も認められた.
肺小細胞癌 耳下腺転移 下垂体転移 脊髄転移 DNAヒストグラム
Received 平成9年1月6日
日呼吸会誌, 36(3): 246-250, 1998