成人重症水痘肺炎の2例
〒965-0803 会津若松市城前10番75号 1)福島県立会津総合病院内科 2)福島県立医科大学第2内科
水痘肺炎は,宿主が免疫不全状態や妊婦では重症化しやすく死亡率が高いが,基礎疾患のない健康成人の場合は軽症で予後は良好と言われている.今回,われわれは健常成人水痘に重症肺病変を合併した2例を経験した.症例1は36歳男性,水痘発症後6日目に突然呼吸困難となり喀血し,翌日急性呼吸不全にて死亡した.症例2は28歳男性,水痘発症後3日目に呼吸困難が出現し,アシクロビルおよびガンマグロブリン製剤投与により軽快した.成人水痘の治療にあたっては,常に水痘肺炎の合併の可能性を念頭に置き,細胞性免疫の低下例に限らず,健康成人の場合でも,重症化予防の意味で,早期に積極的な治療を開始することが重要である.
Received 平成9年2月5日
日呼吸会誌, 36(3): 251-255, 1998