一般社団法人日本呼吸器学会 公式サイト
ScholarOne Manuscripts
日本呼吸器学会英文誌 Respiratory Investigation
日本呼吸器学会誌 増刊号 学術講演会プログラム 抄録集 検索用
日本呼吸器学会誌 増刊号 学術講演会プログラム 抄録集 全文PDF

書誌情報

原 著

肺癌の骨転移に関する検討

梁 英富1)  酒井 洋2)  米田 修一2)  野口 行雄2) 

〒143-0015 東京都大田区大森西6-11-1 1)埼玉県立がんセンター呼吸器科 現 東邦大学第1内科 〒362-0806 埼玉県北足立郡伊奈町小室818 2)埼玉県立がんセンター呼吸器科

要旨

肺癌骨転移症例に対する適切な治療方針を検討する目的で,1985年からの11年間に入院治療された原発性肺癌748例中入院時骨転移を認めた178例(23.8%)を対象に,臨床的検討を行った.性別は女性に多く,組織型では腺癌が小細胞癌,扁平上皮癌に比べ有意に骨転移の頻度が高かった.また,血清CEA値は骨転移例がIV期非骨転移例に比べ有意に高値であった.骨転移による症状は116例(65%)に認められ,67例に対し骨転移巣の治療を行った.症状の改善は50例(74%)に認められ,除痛効果に関しては94%であったが,神経障害の改善は41%にすぎなかった.骨転移による症状の有無,転移巣に対する治療の有無,転移巣に対する治療効果の有無の各々の二群間に生存期間の有意差は認めなかったが,治療効果の認められた群では生存期間の良好な傾向が認められた.また,治療開始からの生存期間中央値は骨転移例5カ月,IV期非骨転移例7.3カ月であった.肺癌骨転移の補助診断には血清CEAが有用であり,骨転移に対しては積極的に局所治療を行うべきであるとであると考えられた.

キーワード

肺癌  骨転移  血清CEA 

Received 平成9年3月10日

日呼吸会誌, 36(4): 317-322, 1998

Google Scholar著者名・キーワードは「Google Scholar™ 学術文献検索」の検索結果へリンクしています.