かぜ症候群後咳嗽に対する麦門冬湯,オキサトミド,デキストロメトルファンの併用療法―予備的検討―
藤森 勝也1) 嶋津 芳典1) 鈴木 栄一2) 荒川 正昭2)
〒957-0052 新潟県新発田市大手町4-5-48 1)新潟県立新発田病院内科 2)新潟大学第2内科
かぜ症候群後持続性咳嗽に,H1受容体拮抗薬のオキサトミド(O)と臭化水素酸デキストロメトルファン(D)の併用療法が有効であること,さらにC線維に抑制的に作用するとされる麦門冬湯(B)が有効な症例もあることを報告してきた.今回B+O+Dの3剤併用療法の効果と副作用を検討した.かぜ様症状後3週間以上持続する咳嗽のある患者で,胸部単純X線写真・呼吸機能検査が正常である症例をまず選択した.治療前に,咳嗽関連の血液学的所見(末梢血白血球・好酸球数,CRP,血清IgE値,肺炎マイコプラズマ抗体価,寒冷凝集素価)が正常か否かを検索した.B+O+Dで1週間治療をし,咳嗽抑制効果は咳日記で連日評価した.36例仮登録したが,血液学的所見に異常のない本登録は,18例であった.咳点数は,5.1±2.4点より1.2±1.9点に有意に低下し,咳嗽消失率は50%であった.副作用は,2例で軽度の眠気を認めた.3剤併用療法は,副作用も少なく,有効な治療法になる可能性がある.
麦門冬湯 持続性咳嗽 臭化水素酸デキストロメトルファン オキサトミド かぜ症候群後咳嗽
Received 平成9年7月31日
日呼吸会誌, 36(4): 338-342, 1998