日本呼吸器学会誌：肺アスペルギルス症を合併した肺葉内肺分画症の1例

Vol.36 No.4 目次

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症　例

肺アスペルギルス症を合併した肺葉内肺分画症の1例

大島　美紀^1）2）織田　裕繁^1）渡辺　章文^1）桑原　正雄^2）

〒722-0311　広島県御調郡御調町市124 ^1）公立みつぎ総合病院内科〒734-0004　広島県広島市南区宇品神田1丁目5番54号 ^2）現：県立広島病院呼吸器内科

要旨

症例は49歳，男性．主訴は持続性の咳，黒色痰．入院時胸部CTにて右S¹⁰に，均一に造影された壁に囲まれた均一な内容物を含む嚢胞性変化と気管支の拡張変化が認められ，喀痰培養からアスペルギルス・ニガーが検出された．大動脈造影にて，腹部大動脈から下横隔膜動脈の分岐と思われる直径1cm程の異常血管が異常陰影にのみ分布しており，静脈相では右肺静脈へ環流していたため，肺葉内肺分画症を強く疑い，分画肺に感染を繰り返しており，さらにアスペルギルス感染も合併していると考え，外科的治療を行った．横隔膜直下から分画肺へ流入していた異常動脈を結紮切離し，炎症により分画肺と正常肺との癒着が強く，右下葉切除を施行した．分画肺は正常肺と同一被膜で包まれており，Pryce III型の肺葉内肺分画症と診断した．分画肺は正常の肺実質は認めず，線維化と拡張した気管支内腔を認め，内部に充満した膿よりアスペルギルスの有節菌糸を多数認めた．

キーワード

大動脈造影肺葉内肺分画症 Pryce III型肺アスペルギルス症右下葉切除

Received 平成9年7月7日

日呼吸会誌, 36(4): 358-362, 1998

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