一般社団法人日本呼吸器学会 公式サイト
ScholarOne Manuscripts
日本呼吸器学会英文誌 Respiratory Investigation
日本呼吸器学会誌 増刊号 学術講演会プログラム 抄録集 検索用
日本呼吸器学会誌 増刊号 学術講演会プログラム 抄録集 全文PDF

書誌情報

症 例

バトソン静脈叢を介して胸膜転移を来した腎細胞癌の1例

大郷 剛  岡原 正幸  岸本 卓巳 

〒702-8055 岡山県岡山市築港緑町1-10-25 岡山労災病院内科

要旨

症例は64歳の男性.平成7年8月の検診で胸部異常陰影を指摘され,悪性胸膜中皮腫を疑われ当院を紹介された.CTにて右腎に巨大な腫瘤を認め,肝,胸膜にも結節影を認めた.画像上,腎癌の肝,胸膜転移と診断された.Transarterial embolization(TAE),interferonα,γ,UFT®療法等の治療を行ったが胸膜転移からの多量の出血により,呼吸不全で平成8年10月死亡した.剖検にて腎腫瘤は,組織学上腎細胞癌(淡明細胞亜型)であり,胸膜多発転移巣も同様の組織像を示しており,腎癌からの転移と考えられた.腎細胞癌は経動脈的に肺実質,骨に転移することはよく知られているが,肺転移が認められず,多発性に胸膜転移する症例報告は非常に稀である.バトソン静脈叢を経由し多発性胸膜転移したと想定された腎細胞癌の一例を報告した.

キーワード

腎細胞癌  胸膜転移  バトソン静脈叢  高Ca血症  石綿 

Received 平成9年7月22日

日呼吸会誌, 36(4): 369-373, 1998

Google Scholar著者名・キーワードは「Google Scholar™ 学術文献検索」の検索結果へリンクしています.