重症呼吸不全をきたし,病変の遷延をみたマイコプラズマ肺炎の1例
大道 光秀 宮崎 修光* 大地 貴** 森川 裕子 田中 紳太郎 佐々木 拓子 平賀 洋明
〒064-0033 札幌市中央区北3条東1丁目1番地 札幌鉄道病院呼吸器科 *現 札幌医大第3内科 **現 函館五稜郭病院呼吸器科
症例は26歳,女性.生来健康であったが,1995年10月1日より発熱,咳嗽出現.近医にて入院加療受けるも改善せず,10月9日当院紹介入院.入院時胸部X線写真上,両側のびまん性肺浸潤影を呈し,PaO2 32.1torrと著明な低酸素血症を認めた.マイコプラズマ肺炎を疑いミノサイクリンを含めた種々の抗生剤,ガンマグロブリン製剤等投与するも,呼吸状態悪化し,人工呼吸管理開始.PEEPおよびステロイドパルス療法等により,胸部X線所見及び呼吸状態の改善が得られた.入院時のマイコプラズマ抗体価(IHA)が40倍で,第14病日が2,560倍と有意な上昇を認め,マイコプラズマ肺炎による急性呼吸不全と診断した.マイコプラズマ肺炎は通常良好な経過をたどる疾患として知られており,本例のような重篤な呼吸不全をきたす例は稀と思われ,ここに若干の文献的考察を加えて報告する.
マイコプラズマ肺炎 重症肺炎 急性呼吸不全 ステロイドパルス療法
Received 平成9年7月30日
日呼吸会誌, 36(4): 374-380, 1998