長期にわたり陰影が変化した円形無気肺の1例
〒869-0524 熊本県下益郡松橋町豊福2338 国立療養所熊本南病院内科
症例は60歳,男性.労作時呼吸困難感を主訴として平成2年11月,当科を受診した.石綿暴露の既往あり.胸部CTで両側の胸膜肥厚と石灰化を認め,アスベスト肺と診断した.右下肺野背側胸膜直下に半円形の均等影があり,経気管支肺生検を行ったが,悪性所見なく,経過観察とした.平成6年5月のCTでは,陰影は縮小し,その形状も円形へと変化し,平成9年6月のCTでは,陰影はさらに縮小し,周囲の血管,気管支をまきこむ典型的な円形無気肺像を呈した.円形無気肺の成立機序を考える上で興味ある症例と考えられた.
Received 平成9年8月7日
日呼吸会誌, 36(4): 381-383, 1998