Lambert-Eaton myasthenic syndromeを合併したT0N2M0肺小細胞癌の1例
綿屋 洋1) 緒方 賢一1) 諸岡 三之1) 中橋 恒2) 原 信之3)
〒790-0826 愛媛県松山市文京町1 1)松山赤十字病院呼吸器センター内科 2)同 呼吸器センター外科 〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1 3)九州大学医学部胸部疾患研究施設
症例は52歳,男性.1996年1月下旬より歩行困難となり,2月中旬より左上肢の脱力感が出現し,手指のしびれを自覚するようになった.また食欲不振,全身倦怠も認めた.筋症状及び筋電図所見よりLambert-Eaton myasthenic syndrome(LEMS)と診断された.悪性腫瘍検索のためガリウムシンチグラフィーが施行され,胸部に異常集積を認めた.胸部CTでは肺内に腫瘍影を認めなかったが,気管傍,気管気管支,大動脈下および左肺門リンパ節腫大が認められた.気管支鏡では異常所見を得ず,胸腔鏡下リンパ節生検により小細胞癌と診断された.LEMSを合併したT0N2M0肺小細胞癌と判明し,抗電位依存性カルシウムチャネル抗体の上昇も認められた.化学療法と放射線療法を行い完全寛解を得た.T0N2M0肺小細胞癌にLEMSを合併した稀な症例を経験したので報告する.
ランバート・イートン症候群 肺小細胞癌 抗電位依存性カルシウムチャネル抗体
Received 平成9年8月12日
日呼吸会誌, 36(4): 389-393, 1998