気管支外発育を伴った気管支脂肪腫の1例
斎藤 博之 西堀 武明 小浦方 啓代 佐藤 和弘 江部 達夫
〒940-2085 新潟県長岡市寺島町297-1 長岡赤十字病院呼吸器科
69歳女性.検診の胸部X線写真で右中肺野末梢の淡い浸潤影を指摘され平成8年8月当院受診.胸部CTの際に右S2~S3にかけての炎症性の陰影に加え,右上葉支内に楕円形の腫瘤(CT値-144HU)の指摘を受けた.気管支鏡検査ではCT所見と同様に右上葉支をほぼ完全に閉塞する黄橙色のポリープ状の腫瘤が確認された.生検組織で気管支粘膜下に成熟脂肪細胞の増生がみられ,気管支鏡所見とあわせ気管支脂肪腫と診断した.内視鏡的治療も考慮したが,高分解能CTで腫瘤の気管支外発育が疑われ平成8年10月外科的切除術を施行.術中右上葉支頭側に小指頭大の気管支外発育をした脂肪腫が確認され,病理組織学的にも確認された.内視鏡技術の発達により気管支脂肪腫に対するNd-YAGレーザーや高周波スネアによるpolypectomyの報告が近年増えているが,胸部CTなどで気管支外発育が疑われた際には,外科的切除の適応も考慮すべきと考えられた.
気管支脂肪腫 気管支外発育 高分解能CT 外科療法 気管支生検
Received 平成9年9月16日
日呼吸会誌, 36(4): 408-412, 1998