著明な閉塞性換気障害を示した夏型過敏性肺臓炎の1例
岩神 真一郎 椎名 健二 大和田 明彦 蓮沼 紀一 佐藤 一彦 高橋 英気 檀原 高 宮元 秀昭* 植草 利公** 福地 義之助
〒113-0033 東京都文京区本郷2-1-1 順天堂大学医学部呼吸器内科 *同 胸部外科 **聖路加国際病院病理科
症例は57歳,男性.喫煙歴なし.2カ月間続く咳嗽,進行性の呼吸困難を主訴に入院した.入院時,喘鳴,著明な閉塞性換気障害,低酸素血症,CRP陽性などの所見があり,胸部CT上,両側びまん性の小粒状陰影を認めた.臨床的に感染,その他の原因による細気管支炎を疑い,抗生剤,気管支拡張剤を投与したが,反応が乏しく,ステロイド治療により軽快した.その後,自宅外泊で発熱を認め,気管支肺胞洗浄液中のCD8陽性リンパ球の増加,血清トリコスポロン抗体陽性などの所見から夏型過敏性肺臓炎が疑われた.しかし,閉塞性換気障害が前面にたち,他の病態による細気管支炎の合併も考えられたため,胸腔鏡下肺生検を施行した.病理学的に胞隔炎とマッソン体様の器質化の他,終末及び呼吸細気管支を閉塞するような著明な肉芽腫病変が認められ,閉塞性換気障害との関連が考えられた.
Received 平成10年3月11日
日呼吸会誌, 36(12): 1048-1052, 1998