温泉を感染源としたレジオネラ肺炎の集団発生例
〒020-8505 岩手県盛岡市内丸19-1 1)岩手医科大学高次救急センター 2)岩手医科大学第3内科
平成8年6月24日から7月1日にかけて岩手県の同一地区で3名のレジオネラ肺炎の発生をみた.問診の結果3名に共通する感染経路として同地区の温泉が疑われ,温泉施設の冷却塔および温泉水を採取し,培養したところ,貯湯槽および注水口から採取した温泉水よりLegionella pneumophila血清型1が検出された.本報告は温泉入浴によるレジオネラ肺炎集団発生の本邦における最初の報告であり,冷却塔のみならず温泉水が同疾患の感染源となりうることを示している.今回の集団発生において特に貯湯槽が汚染源と考えられ,今後浴槽のみならず給湯施設および貯湯施設においても十分な保守管理が必要であると考えられる.
Received 平成9年8月28日
日呼吸会誌, 37(8): 601-607, 1999