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書誌情報

原 著

高齢者の気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患における血清IgE値の臨床的意義に関する研究

茂木 孝  木田 厚瑞 

〒173-0015 東京都板橋区栄町35-2 東京都老人医療センター呼吸器科

要旨

高齢者(65歳以上)で臨床的に気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患(COPD)と診断した計325名を対象とし,横断調査として血清IgE値,末梢血好酸球数と臨床症状,肺機能,喫煙習慣の関係につき検討した.1)男性の方が女性よりIgE値が高い傾向を示した.既,現喫煙者は非喫煙者よりIgE値は高値であった.2)既喫煙者のCOPD群と気管支喘息群では閉塞性換気障害の程度の差によりIgE値に差異が認められた.気管支喘息群では%FEV1.0 predictの低下群の方が,IgE値は高値であったが,COPD群では逆に%FEV1.0 predictの低下群ではIgE値も低値であった.3)末梢血好酸球数は男性,女性とも気管支喘息群の方がCOPD群より多く,気管支喘息群のみでIgE値と好酸球数の間に弱い相関関係が認められた.高齢者では気管支喘息とCOPDの病態が類似していると考えられてきたが,血清IgE値,肺機能検査,喫煙との関係において両者は異なる病態であることが示唆された.

キーワード

高齢者  慢性閉塞性肺疾患  気管支喘息  血清IgE値  肺機能 

Received 平成10年7月6日

日呼吸会誌, 37(8): 608-613, 1999

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