肺出血で初発した若年発症Goodpasture症候群の亜型と考えられた1例
中島 一郎太1) 佐々木 昌博1) 伊藤 武史1) 渡邊 亜紀子1) 佐野 正明1) 鹿島 正行1) 加賀谷 学1) 小松田 敦2) 涌井 秀樹2) 今井 裕一2) 塩谷 隆信3) 三浦 傅1)
〒010-8543 秋田市本道1-1-1 1)秋田大学医学部第二内科 2)秋田大学医学部第三内科 3)秋田大学医療技術短期大学部
症例は17歳,男性.呼吸困難および血痰で発症し気管支肺胞洗浄にて肺胞出血と診断された.ステロイドパルス療法施行後,ステロイド内服にて肺胞出血は軽快したが,新たに尿潜血反応が陽性となり,血中抗GBM抗体価も軽度上昇しため肺および腎生検を施行した.腎では蛍光顕微鏡にて糸球体基底膜(GBM)にIgG,カッパ鎖,ラムダ鎖が強く,C3がやや弱く線上に沈着していた.光顕像ではGBMとボウマン嚢の癒着が散在性に認められた.肺病変には同様の所見はみられなかったが,Goodpasture症候群が疑われた.腎病変の激症化を阻止するめ,血漿交換療法を2回施行した.確認された抗GBM抗体はGoodpasture症候群で通常みられるものとは異質であり,本症例がGoodpasture症候群の亜型である可能性が示唆された.
Received 平成10年12月21日
日呼吸会誌, 37(8): 652-657, 1999