空洞壁に肺腺癌を合併したアスペルギローマの1例
橋口 浩二1)3) 前崎 繁文1) 佐々木 英祐1) 富山 由美子1) 東山 康仁1) 朝野 和典1) 岡 三喜男1) 田代 隆良1) 河野 茂1) 高橋 孝郎2) 赤嶺 晋治2) 岡 忠之2) 綾部 公懿2)
〒852-8501 長崎市坂本1-7-1 1)長崎大学医学部第2内科 2)長崎大学医学部第1外科 3)現日本赤十字社長崎原爆病院呼吸器内科
症例は67歳,男性.左上肺野の空洞内に菌球を認め,アスペルギローマの診断にて入院となった.amphotericin Bの点滴静注を行うも,腎機能障害のため中止.外来にてitraconazole 200mg/日にて経過観察したが,菌球および空洞が増大するため,開窓術を施行し,菌球を摘出した.その後の経過観察中に胸部CT上,空洞壁肥厚および肋骨破壊像,さらに胸部X線上,右全肺野に粒状陰影を認め,呼吸不全にて死亡した.左肺のnecropsyにて低分化腺癌を認め,肺腺癌に伴う癌性リンパ管症を合併したと考えられた.外科的に切除困難な症例ではアスペルギローマと肺癌の合併にも十分注意して経過観察する必要があると考えられた.
Received 平成10年12月24日
日呼吸会誌, 37(8): 658-661, 1999