気管支喘息急性増悪症例に対する静注から経口テオフィリンへの早期変更の試み
小野 容明 近藤 哲理 谷垣 俊守 正山 泰 馬上 喜裕 神谷 有久理 田崎 厳 太田 保世
〒259-1193 神奈川県伊勢原市望星台 東海大学呼吸器内科
わが国ではアミノフィリンは気管支喘息急性増悪における第一選択薬のひとつとして位置づけられている.しかしアミノフィリンの点滴静注をどの時点で内服のテオフィリンに変更すべきかを明確に示した研究はない.そこでわれわれはアミノフィリン持続点滴静注を早期に経口薬へ変更する治療プログラムの作成を試みた.中等度以上の増悪にて入院となった気管支喘息患者を入院順番に従いアミノフィリン持続静注群(IV群)と入院第2病日から経口テオフィリン薬(ユニフィル®)内服に変更する群(PO群)とに交互に振り分け,喘息症状点数・%PEFR・QOL・在院日数について検討した.テオフィリン血中濃度は両群ともに治療域を推移した.第3病日PO群において%PEFR・症状点数・QOLスコアの有意な改善を認め,在院日数の短縮と医療保険請求の減額をもたらした.内服薬への変更のさい,投与量はテオフィリンクリアランス値により予測可能であった.
Received 平成11年7月29日
日呼吸会誌, 39(2): 75-81, 2001