亜急性に経過する間質性肺炎群の予後は限局性UIP病変の有無で相違する
河端 美則1) 金沢 実2) 小倉 高志3) 藤田 次郎4) 多田 慎也5) 三重野 龍彦6) 福島 一雄7) 深堀 隆8) 加藤 聡之9) 鈴木 清10) 野田 康信11) 吉田 康秀12) 杉田 博宣13)
〒360-0105 埼玉県大里郡江南町板井1696 1)埼玉県立循環器・呼吸器病センター検査部, 2)同 内科部, 3)神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器科, 4)香川医科大学第1内科, 5)香川労災病院内科.6)アルメイダ病院呼吸器科, 7)再春荘病院内科, 8)社保神戸中央病院内科, 9)刈谷総合病院内科, 10)名城病院内科, 11)豊橋市民病院呼吸器科, 12)沼津市立病院内科, 13)結核予防会複十字病院呼吸器内科
亜急性発症の間質性肺炎で,外科的生検がされ,かつ経過を追えた例の検討を行った.病理学的に亜急性間質性肺炎と診断した群(以下SIP群)と,上記病変に加え限局性UIP病変を伴う群(以下SIP+F群)に分けた.SIP群は35例で,SIP+F群は15例,両群とも中年で女性が多く,呼吸困難で発症した.気管支肺胞洗浄では両群とも好中球(8.8%,6.3%),好酸球(6%,5.6%),とリンパ球増多(43.1%,42.3%)を示した.胸部X線像は罹患部位の縮小を伴う下肺野優位陰影が多く,治療前に両群の鑑別はできなかった.ステロイド療法などで両群とも1例を除き一時改善した.一時改善後の経過観察ではSIP群は不変が27(82%)例,死亡を含む悪化が6例(18%),SIP+F群は不変が6例(43%),悪化が8例(57%)で有意差を示した(他病死を除く).限局性UIP病変の存在は予後を左右すると判断した.
Received 平成12年2月14日
日呼吸会誌, 39(2): 82-88, 2001