慢性呼吸器疾患患者における運動耐容能の新しい評価法の提案
〒349-0196 埼玉県蓮田市黒浜4147 国立療養所東埼玉病院内科 *日本光電株式会社R&Dセンター
被験者に運動負荷を与えずに,日常生活のなかで運動耐容能を定量評価できる解析方法を考案した.日常労作の程度を「身体活動度」という運動エネルギーの尺度で評価し,「身体活動度」と経皮的酸素飽和度(Spo2)分布との関連性を解析した.健常人では安静時と比較して,各身体活動度群におけるSpo2分布の平均値に有意差を認めず分布の形状が均等であった.慢性呼吸器疾患症例では安静時と比較して,身体活動度の増加に伴いSpo2分布の平均値に有意差を認め分布の形状が不均等化した.安静時と各身体活動度群におけるSpo2分布の平均値の有意差を検定することで運動耐容能を定量的に評価した.在宅酸素療法の導入の決定・酸素流量の設定を行う際に,本解析法は有用である.簡便にしかも安全に運動耐容能を検査することができる.本解析システムを在宅医療に応用することで,さらにきめ細かな患者の病状把握および患者指導が可能となることが期待される.
身体活動度 運動耐容能 酸素飽和度 パルスオキシメータ 在宅酸素療法
Received 平成12年6月16日
日呼吸会誌, 39(2): 95-103, 2001