急速進行性糸球体腎炎の肺病変の検討
小浦方 啓代 齋藤 功 五十嵐 謙一 鈴木 栄一 荒川 正昭 下条 文武
〒951-8122 新潟県新潟市旭町通1番町757番地 新潟大学医学部第2内科学教室
急速進行性糸球体腎炎(RPGN)71例の肺病変について,retrospectiveに検討した.肺病変を32例(45.1%)に認め,腎以外の病変として最も頻度が高かった.その内訳は,肺胞出血12例(16.9%),間質性肺炎10例(14.1%),慢性気道病変4例(5.6%),consolidation 2例(2.8%),陳旧性炎症病変4例(5.6%)であった.腎病変との発症時期の検討では,肺胞出血合併例は,同時8例,腎病変先行3例,肺胞出血先行1例で,間質性肺炎合併例では,同時1例,腎病変先行2例,間質性肺炎先行7例で,粉塵吸入歴が3例に認められ,急性の進行性間質性肺炎は2例のみであった.MPO-ANCA陽性例(37例)では,肺胞出血7例,間質性肺炎6例,慢性気道病変3例,陳旧性炎症病変1例と45.9%に肺病変を合併していたが,MPO-ANCA,PR3-ANCA,抗GBM抗体いずれも陰性例(10例)でも,肺胞出血1例を含め30.0%に肺病変を認めた.
急速進行性糸球体腎炎 間質性肺炎 肺胞出血 肺病変 抗好中球細胞質抗体
Received 平成12年7月11日
日呼吸会誌, 39(2): 104-109, 2001