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日本呼吸器学会誌 増刊号 学術講演会プログラム 抄録集 検索用
日本呼吸器学会誌 増刊号 学術講演会プログラム 抄録集 全文PDF

書誌情報

症 例

異型腺腫様過形成を合併した異時性多発肺癌の一切除例

原 英則  高野 康雄  品田 純  吉村 博邦 

〒228-8555 神奈川県相模原市北里1-15-1 北里大学医学部胸部外科学 北里大学医学部病理学(現富山医科薬科大学病理学I)

要旨

症例は70歳の女性で,8年前にstage Iの肺腺癌にて左上葉切除術が施行された.術後の病理組織学的検索により,主病巣から離れた部位に大きさ5mm大の異型腺腫様過形成を認めた.今回胸部X線写真にて左残存肺に,径2cm大の結節状陰影が認められ精査するも確定診断が得られず,開胸下に肺部分切除術を施行した.病理組織学的には今回の病変は前回と同じ組織型の腺癌で,その主病巣近傍には微小な腺腫様過形成を認めた.8年の時間経過で2つの癌を同側肺に認めたが,今回の肺癌が異時性の第2癌の発生なのか,前回のpmなのか鑑別に難渋した.また前回肺癌には孤立性の異型腺腫様過形成が見られ,今回の癌発生において,前回術後の残存肺に残された小さな前癌病巣が,癌へ進展した可能性も否定し得ず,肺癌の組織発生及び経時的変化を考えるうえで興味が持たれた.今回と8年前のそれぞれの主病巣及び共存する微小病変の差異を,増殖性及び腫瘍化マーカーの発現について検討し,文献的考察を加えて報告した.

キーワード

原発性多発肺癌  異時性肺腫瘍  肺内転移  肺腺癌  異型腺腫様過形成 

Received 平成11年11月1日

日呼吸会誌, 39(2): 110-116, 2001

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