喀血を繰り返した原発性気管支動脈蔓状血管腫の1例
光嶋 博昭1) 真崎 宏則1) 大石 和徳1) 赤嶺 晋治2) 岡 忠之2) 綾部 公懿2) 芦澤 和人3) 林 邦昭3) 林 徳真吉4) 永 武毅1)
〒852-8102 長崎市坂本町1丁目12-4 1)長崎大学熱帯医学研究所感染症予防治療分野(熱研内科) 長崎大学医学部附属病院 2)第1外科, 3)放射線科, 4)病理部
症例は42歳男性.喀血の精査目的で気管支動脈造影を施行し,左気管支動脈の拡張,蛇行および肺動脈との吻合が確認された.スポンゼルによる気管支動脈塞栓術(Bronchial Arterial Embolization:BAE)を計3回施行したが喀血を繰り返したため,左下葉切除術を施行し,完治した.切除肺の病理学的検討からは炎症細胞浸潤を認めず,気管支動脈が拡張している所見が得られ気管支動脈造影所見とあわせて,原発性気管支動脈蔓状血管腫と診断した.また,病理組織上,arterio-venous malformation(AVM)様の異常血管が認められた.本疾患は気管支動脈塞栓術により治癒することも報告されているが,本症例のごとく一時的に止血できてもシャント量が多く側副血行路を形成し再喀血を繰り返す場合には根治目的に肺切除術が必要であると考えられた.
Received 平成12年6月5日
日呼吸会誌, 39(2): 135-139, 2001