急速に増大する腫瘤影を呈したMycobacterium avium肺感染症の1例
山崎 泰宏1) 松本 博之1) 小笠 寿之1) 高橋 政明1) 佐藤 和恵1) 武田 昭範1) 岡本 清貴1) 藤田 結花1) 永瀬 厚2)
〒070-8644 旭川市花咲町7丁目 1)国立療養所道北病院呼吸器内科 2)同 外科
症例は72歳男性,胸部X線上の異常陰影精査目的で当院入院となった.胸部CT検査では右S1に最大径3cmの腫瘤影を認めた.1年前の胸部X線では全く異常を認めずその後急速な増大傾向を認めた.気管支鏡下細胞診でClassIIIbが得られたが確定診断には至らず,悪性腫瘍も否定できないことからVATS(videoassisted thracoscopic surgery)を施行した.病理学的には乾酪壊死とその周囲の類上皮細胞,ラングハンス巨細胞を認め,またその後の培養検査からM. avium肺感染症と診断した.急速に増大した孤立性腫瘤影を呈したM. avium肺感染症の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
Received 平成12年6月13日
日呼吸会誌, 39(2): 151-155, 2001