アレルギー性気管支肺アスペルギルス症における血中(1→3)-β-D-グルカン値の検討
〒933-8555 富山県高岡市永楽町5-10 1)厚生連高岡病院呼吸器内科 2)金沢大学第3内科
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)患者において,真菌感染症のマーカーである血中(1→3)-β-D-グルカン(βDG)測定値の変動を血清IgE値や末梢血好酸球数と比較検討した.1998年5月から1999年4月に新たに診断または再燃した3例のABPA患者を対象とした.3症例ともに治療前にはβDGは高値を呈し,ステロイド治療(±イトラコラゾール内服)により低下した.2症例で経過中再燃が見られ,再燃時にβDGの再上昇を認めた.全体としてβDGはIgEと並行した変動を示したが,一症例で再発後の治療中に乖離がみられた.βDGはアレルギーとは別の感染症としての側面からのABPAの経過観察指標となりうる可能性が示唆された.
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症 (1→3)-β-D-グルカン イトラコナゾール IgE 真菌感染症
Received 平成12年7月28日
日呼吸会誌, 39(6): 383-388, 2001