気管支喘息患者におけるフルチカゾン吸入の有用性およびECP測定による気道炎症の検討
〒060-8604 札幌市中央区北11条西13丁目 市立札幌病院・呼吸器科
対象は3カ月以上800μlg以上のBDPを吸入しても,PEF値の平均が標準値の80%未満の気管支喘息患者25名.BDP吸入(中央値1200μlg)2週間の対照観察期間の後,FP800μlg吸入に変更した.対照観察期間・変更6週間後の臨床症状,PEF値,末梢血好酸球数,比率,血清ECP濃度,誘発喀痰中好酸球比率,ECP濃度,%FEV1.0について検討した.%PEF値は,対照観察期間・変更6週間後で,朝が63.1→76.1%,夕が63.6→76.2%といずれも有意に改善した(p<0.001).対照観察期間の末梢血好酸球比率,誘発喀痰中好酸球比率が高い程,朝夕の%PEF値の改善率が高く,有意な相関を示した(それぞれp<0.01,p<0.05).喀痰中ECP濃度は対照観察期間で中央値835μlg/l,FP吸入後でも180μlg/lと高値が持続していた.また%PEF値の平均はFP吸入後でも80%には達しなかった.重症気管支喘息患者の一部ではFP800μlgの吸入にも抵抗性の気道炎症が持続している可能性がある.
気管支喘息 ベクロメサゾン フルチカゾン ピークフロー ECP
Received 平成12年8月23日
日呼吸会誌, 39(6): 394-398, 2001