Klebsiella pneumoniaeによる肺炎,敗血症性肺塞栓症,両側巨大肺膿瘍,多発性肝膿瘍の1例
〒938-8502 黒部市三日市1108番地の1 1)黒部市民病院内科 2)金沢大学第3内科
症例は64歳の男性,糖尿病性非ケトン性昏睡で入院となった.入院時左肺尖部に空洞形成を伴う浸潤影が認められた.喀痰培養,血液培養で繰り返しKlebsiella pneumoniaeが検出された.その後敗血症,空洞形成を伴った敗血症性肺塞栓症および多発性肝膿瘍に進展した.臨床経過の軽快にもかかわらず,徐々に両側肺浸潤影が進行し,その後巨大空洞影に置き変わっていった.空洞形成と膿瘍形成はKlebsiella pneumoniaeにしばしばみられる合併症であり,両側肺膿瘍になった場合は,一般的に予後不良とされている.本症例では1番目は急性期の肺膿瘍による空洞,2番目に敗血症性肺塞栓症による空洞,3番目に両側肺の浸潤影の治癒過程に発生した空洞と,作用機序の異なる3つのタイプの空洞を形成した症例は稀である.
Received 平成12年8月22日
日呼吸会誌, 39(6): 405-409, 2001