血管炎症状出現以前に,血清学的にリウマチ因子及びMPO-ANCA陽性を認めたChurg-Strauss症候群の1例
古家 正 今野 和典 角 勇樹 大谷 義夫 澤田 めぐみ 海野 剛 稲瀬 直彦 三宅 修司 吉澤 靖之
〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45 東京医科歯科大学呼吸器科
症例は52歳,男性.1995年4月より気管支喘息にて加療中であった.同年10月より気管支喘息が悪化し,当初血管炎症状は認めなかったが1996年12月よりMPO-ANCA陽性,また1997年4月よりリウマチ因子陽性が確認されていたが,皮疹は認めず,神経伝導検査にて異常は認めなかった.その後同年1997年5月より皮疹,関節痛,両側下肢しびれが出現し,皮膚生検にて血管炎所見を認め,Churg-Strauss症候群と診断.プレドニゾロン投与にて気管支喘息,皮疹は著明に改善し,MPO-ANCAも陰性化したが,神経症状は遷延した.Churg-Strauss症候群においては高率にMPO-ANCAが陽性となることが知られているが,本症例のように血管炎症状出現以前にリウマチ因子,MPO-ANCA陽性を確認し得た報告はなく,早期診断,早期治療の上で意義ある症例と考え報告した.
Churg-Strauss症候群 リウマチ因子 MPO-ANCA 血管炎
Received 平成12年8月23日
日呼吸会誌, 39(6): 410-414, 2001