気腫性肺嚢胞に合併した肺癌の5例
〒425-8505 焼津市立総合病院呼吸器科 *焼津市立総合病院外科
気腫性肺嚢胞に合併する肺癌の頻度は高く予後不良例が多い.一方,肺癌に起因する続発性気胸は稀である.今回気腫性肺嚢胞に合併した肺癌の5例を経験し,4例は気胸を初発症状としていた.症例1は49歳男性で両側気胸にて発症,右下葉に扁平上皮癌を合併した.症例2は36歳男性でRecklinghausen病と巨大肺嚢胞を基礎疾患とし,右気胸にて発症,右上葉に低分化腺癌を合併した.症例3は68歳男性で左気胸にて発症,左上葉に低分化腺癌を合併した.症例4は72歳女性で左気胸にて発症,左上葉に高分化腺癌を合併した.症例5は51歳男性で両側の巨大肺嚢胞を認め嚢胞切除術を施行,微小高分化腺癌を右肺嚢胞壁に認め,18月後左上葉に低分化腺癌を合併した.胸部X線写真上気腫性肺嚢胞を認めた時は嚢胞壁の変化に注意し,疑わしい陰影を認めた時は積極的検索を行うべきである.
Received 平成12年8月31日
日呼吸会誌, 39(6): 415-418, 2001