エンドトキシン吸着・持続式血液透析濾過が奏功した重症Klebsiella肺炎の一例
鎌田 正 望月 吉郎 中原 保治 田中 明 河村 哲治 佐々木 信
〒670-8520 兵庫県姫路市本町68 国立姫路病院内科
症例は57歳男性.発熱・全身倦怠感・呼吸困難のため近医受診したところ,右上葉肺炎を指摘され当科に入院となった.入院時低酸素血症,腎機能障害を認めた.入院翌日には腎不全進行し,血圧低下・意識障害も出現したため,人工呼吸管理・エンドトキシン吸着(endotoxin adsorption:以下PMX)および持続式血液透析濾過(continuous hemodiafiltration:以下CHDF)を開始した.喀痰・血液からK. pneumoniaeが検出され,Klebsiella肺炎に続発した敗血症・エンドトキシンショックと診断した.治療開始後全身状態改善し人工呼吸・CHDF・PMXから離脱したが,肺膿瘍が残存し喀痰検査でMRSAへの菌交代現象が認められた.バンコマイシン投与するも肺病変や発熱の改善乏しいため,外科的根治術を施行し退院となった.Klebsiella肺炎は進行して菌血症を呈すると予後不良とされている.本症例ではKlebsiella肺炎に続発した敗血症性多臓器不全に対しCHDF・PMXが有効であったと考えられたので若干の文献的考察を加え報告する.
クレブシェラ肺炎 全身性炎症反応症候群 敗血症性多臓器不全 エンドトキシン吸着 持続式血液透析濾過
Received 平成12年9月4日
日呼吸会誌, 39(6): 419-424, 2001