急性腎不全を合併したマイコプラズマ肺炎の1例
榎本 紀之1) 中野 豊1) 須田 隆文2) 千田 金吾2) 中村 浩淑2)
〒430-0802 浜松市将監町25番地 1)浜松労災病院内科 2)浜松医科大学第2内科学講座
症例は17歳女性,湿性咳嗽,発熱を主訴に近医を受診し,セフテラムピボキシルの内服ならびにホスホマイシンの点滴静注を受けたが症状は改善せず当院を受診した.胸部X線写真では左上~中肺野にair bronchogramを伴う淡い浸潤影を認めた.年齢ならびに病歴から異型肺炎を疑いミノサイクリンとピペラシリンの点滴による併用療法を開始した.経過中に腎機能障害が急速に進行したため血液透析を施行し改善が認められた.咽頭ぬぐい液での肺炎マイコプラズマのmessenger RNAがpolymerase chain reaction(PCR)法にて陽性,ならびにマイコプラズマ抗体価が1,280倍と高値であったことよりマイコプラズマ肺炎と診断した.本疾患において血液透析を必要とした重症腎不全の合併は本症例を含め2例と稀であった.マイコプラズマ肺炎に腎障害が合併する機序に対する考察を加え報告する.
Received 平成12年9月6日
日呼吸会誌, 39(6): 425-429, 2001