多発性空洞病変を呈した卵巣癌肺転移の1例
〒160-8488 東京都新宿区歌舞伎町2-44-1 都立大久保病院内科
多発性空洞病変を中心とする,多彩な画像所見を呈した卵巣癌肺転移症例を経験した.患者は28歳,女性.23歳時に右卵巣癌(粘液嚢胞腺癌)の摘出術を受けている.咳嗽,発熱を主訴に受診し,胸部X線上,空洞病変や浸潤影がみられた.経気管支肺生検により粘液産生腺癌が認められ,卵巣癌肺転移と診断した.胸部CTは,複数の不整な壁の厚い空洞,薄壁空洞を中心に,air space consolidation,スリガラス陰影,小葉中心性の小粒状影など多彩な所見を示し,原発腫瘍の豊富な粘液産生の性質を反映しているものと推察された.
Received 平成12年9月6日
日呼吸会誌, 39(6): 430-433, 2001