肺小細胞癌の治療中G-CSF投与により乾癬様皮疹が誘発された1例
〒701-1192 岡山市田益1711-1 国立病院岡山医療センター呼吸器科 *同 臨床検査科
症例は70歳,男性.肺小細胞癌の診断でconcurrent chemoradiotherapy施行中,G-CSF投与により落屑を伴う乾癬様の皮疹が出現した.皮疹は放射線照射野からはじまり,その後末梢に拡がり全身性となった.既往歴には皮膚疾患はなかった.皮膚生検の結果,マンロー微小膿瘍とKogojのspongiform pustuleを認め,乾癬に合致する組織所見であった.G-CSF製剤のfilgrastimとlenograstimのいずれでも同様の皮疹が誘発された.乾癬の既往のない肺小細胞癌患者にG-CSF製剤により乾癬が誘発された報告としては本症例が第1例目である.
乾癬 遺伝子組換えヒト顆粒球コロニー形成刺激因子(G-CSF) 肺小細胞癌
Received 平成12年9月20日
日呼吸会誌, 39(6): 438-441, 2001