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日本呼吸器学会英文誌 Respiratory Investigation
日本呼吸器学会誌 増刊号 学術講演会プログラム 抄録集 検索用
日本呼吸器学会誌 増刊号 学術講演会プログラム 抄録集 全文PDF

書誌情報

症 例

KL-6が著しく高値を示したイソシアネート肺臓炎と思われる1例

橋爪 敏彦1)  沼田 博行1)  松下 和彦2) 

〒247-8581 横浜市栄区桂町132 1)横浜栄共済病院内科 2)同 病理科

要旨

症例は47歳,男性.自動車塗装業に従事し始めてから4カ月後より咳嗽,悪寒,呼吸困難が出現した.胸部X線写真で両肺野びまん性にすり硝子陰影を認め,血清KL-6は11,100U/mlと著しく高値を示した.気管支肺胞洗浄液でリンパ球比率が増加し,CD4/8比が0.08と低下していた.経気管支肺生検では,胞隔と細気管支周囲にリンパ球浸潤を認めた.職場環境からの回避のみで自然軽快傾向を認め,過敏性肺炎が疑われた.職場で使用していた塗料にヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が含有されており,原因抗原として疑われたが,患者血清中にイソシアネートに対する特異抗体は検出されなかった.確定診断には至らず,nonspecific interstitial pneumoniaの可能性も残された.副腎皮質ステロイドの投与により軽快し,血清KL-6値も治療に伴い低下した.

キーワード

過敏性肺炎  イソシアネート  KL-6  Nonspecific interstitial pneumonia  間質性肺炎 

Received 平成12年10月10日

日呼吸会誌, 39(6): 442-445, 2001

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