成人Coxiella burnetii肺炎の一例
宮下 修行1)2) 深野 浩史1)2) 原 宏紀1) 原 史人1) 中嶋 健博1) 二木 芳人2) 松島 敏春2)
〒701-0192 岡山県倉敷市松島577 1)倉敷第一病院内科・外科 2)川崎医科大学呼吸器内科
症例は49歳,男性.インドネシア滞在中から発熱と咳嗽が出現,持続するため,帰国後当院を受診.血液検査上,高度の炎症所見と胸部X線写真にて右上肺野に浸潤影を認めたため,肺炎と診断し入院となった.入院後β-ラクタム系抗菌薬を投与するも病状は悪化し,その後投与したエリスロマイシンが著効を示した.非細菌性肺炎を疑い,MycoplasmaやChlamydiaなどの非定型病原体の検索を行ったところ,血清からCoxiella burnetiiのDNAが検出され,また血清抗体価の上昇もみられたため,C. burnetii肺炎と診断した.C. burnetiiは,欧米では市中肺炎の一般的な原因菌として認識されているが,本邦での肺炎型の報告は極めて少ない.これはQ熱の発生頻度や病型が,国や地域により異なるといった疫学的特徴に起因するものと考えられる.従って,今後は全国規模ならびに地域別によるサーベイランスが必要と考える.
Q熱 コクシエラ・バーネティ 人畜共通感染症 リケッチア 市中肺炎
Received 平成12年10月30日
日呼吸会誌, 39(6): 446-451, 2001