気腫性変化の進行を確認できたAIDS合併カリニ肺炎の1例
中込 隆之 北田 修 中村 仁 宮田 茂 荒金 和美 兒玉 拓 栗林 康造 陣 祥子 竹中 乃里子 長澤 奈美子 杉田 實
〒663-8501 西宮市武庫川町1-1 兵庫医科大学総合内科呼吸器部門
症例は60歳男性.進行性の呼吸困難のため当科入院となり,AIDS合併カリニ肺炎と診断された.当科入院時の胸部CTにてスリガラス状陰影,多数の気腫性変化を認めた.また当科入院の約1カ月前にA病院にて施行された胸部CTで,カリニ肺炎に典型的なスリガラス状陰影,浸潤影を呈しており,既にこのとき,カリニ肺炎を発症していたものと考えられた.A病院の胸部CTとの比較により,スリガラス状陰影の増悪に加え,気腫性変化の進行も認めた.カリニ肺炎に伴ってみられる画像所見に関しては,従来より多数の報告があり,その所見は多彩であるが,気腫性変化に関する報告例は本邦では少ない.今回,我々は気腫性変化の進行を確認でき,経過中に両側気胸を併発したAIDS合併カリニ肺炎の1例を経験した.
後天性免疫不全症候群 カリニ肺炎 スリガラス状陰影 気腫性変化 気胸
Received 平成13年12月5日
日呼吸会誌, 40(10): 812-816, 2002