てんかん発作に伴った神経原性肺水腫の1例
長 勇* 甲斐 芽久美 一門 和哉 内藤 美由紀 坂田 哲宣 菅 守隆
〒860-0811 熊本県熊本市本荘1-1-1 熊本大学医学部第1内科 〒862-8505 熊本県熊本市湖東1丁目1-60 *現:熊本市立熊本市民病院
てんかん発作に伴い発症した神経原性肺水腫の1例を経験したので報告する.症例は36歳,女性.平成10年7月より意識消失発作後の呼吸困難感により,これまで数回近医に入院していた.平成11年10月12日,同様のエピソードにより同医へ入院,精査のため当科へ紹介された.これまでと同様に低酸素血症と胸部レントゲンにて両側浸潤影を認めたが,それらは短期間で無治療にて改善した.CRP陰性,心機能正常,淡血性の気管支肺胞洗浄液,脳波検査,短期間での改善などより,てんかん発作に伴い発症した神経原性肺水腫と診断した.てんかん発作に伴う神経原性肺水腫は,1908年の報告以来これまでに約40例の報告を認めるのみで稀ではあるが,てんかん患者にみられる突然死に関与している可能性も示唆されており,その存在を認識しておくことは重要と考えられる.
Received 平成13年12月12日
日呼吸会誌, 40(10): 817-821, 2002