カリニ肺炎発症によりHTLV-Iキャリアーを診断し得た1例
伊東 友好 伴 裕雅 高村 竜一郎 吉川 貴仁 児玉 豊城 玉垣 芳則
〒599-8247 大阪府堺市東山500-3 ベルランド総合病院呼吸器科
症例は65歳,女性.発熱,労作時呼吸困難を主訴に近医を受診,胸部X線にてびまん性陰影を指摘され当科紹介入院となった.経気管支肺生検によりPneumocystis carinii肺炎(以下PC肺炎)と診断し,ST合剤により胸部陰影の消失をみた.PC肺炎は細胞性免疫の異常に伴い日和見感染として発症するが本例ではHIVや悪性腫瘍は認めず,抗HTLV-I抗体が陽性であった.HTLV-Iキャリアーにも日和見感染を合併することが報告されており,今後成人T細胞白血病(ATL)発症など注意深い経過観察が必要と考えられた.
成人T細胞性白血病 HTLV-Iキャリアー ニューモシスティス・カリニ肺炎 日和見感染 経気管支肺生検
Received 平成14年1月21日
日呼吸会誌, 40(10): 822-826, 2002