慢性好酸球性肺炎の予後の検討
望月 吉郎1) 小橋 陽一郎2) 中原 保治1) 田中 明1) 河村 哲治1) 佐々木 信1) 河南 里江子1)
〒2670-8520 姫路市本町68番地 1)国立姫路病院内科 2)天理よろづ相談所病院病理 3)京大再生医科学研究所臓器再建応用分野
1988年から1991年の間に当院で慢性好酸球性肺炎と診断し,症状重篤なためステロイド治療を行い,9年以上経過観察された12例を臨床的に検討した.まとめると以下の如くなる.(1)12例中気管支喘息は3例,アレルギー性鼻炎はなかった.(2)全例初回ステロイド治療で著明改善した.(3)全経過中胸郭外病変はなかった.(4)9~12年の経過観察中死亡例は1例のみで,10年10カ月後に急性心筋梗塞で死亡した.(5)6例に再発を認めたが,再発時にもステロイド薬が著効した.(6)4例にステロイド薬を長期使用中で,1例は難治喘息のためプレドニゾロン5mg内服とBDI 800μg/日吸入中,1例は喘息治療および再発予防のためBDI 800μg/日吸入中,2例で再発防止のためそれぞれBDI 800・600μg/日吸入中である.以上より,慢性好酸球性肺炎は予後の良い疾患であると思われる.
Received 平成13年10月29日
日呼吸会誌, 40(11): 851-855, 2002