特発性肺線維症におけるIL-8の臨床的意義の検討
戸谷 嘉孝1) 齊藤 雄二1) 榊原 博樹1) 宮森 勇2) 石崎 武志3)
〒470-1192 愛知県豊明市沓掛町田楽ヶ窪1の98 1)藤田保健衛生大学医学部呼吸器アレルギー内科 2)福井医科大学第3内科 3)福井医科大学看護学科
特発性肺線維症(IPF)患者の血清,気管支肺胞洗浄液(BALF),epithelial lining fluid(ELF)中のIL-8を測定し,他の臨床所見と比較してその臨床的意義を検討した.血清IL-8値は活動性群(34.4±11.9pg/ml)で安定群(14.6±10.9pg/ml)と比較して有意に高値だったが,血清KL-6,SP-D,胸部Ga-67シンチ所見との有意な相関は見られなかった.一方,活動性群と安定群との間でBALF(活動性群168±159pg/ml,安定群122±91pg/ml)およびELF(活動性群4,359±3,026pg/ml,安定群4,107±3,280pg/ml)のIL-8値には有意差は見られなかった.以上の結果から血清IL-8値の測定はIPFの疾患活動性診断に有用と考えられた.
Received 平成14年5月10日
日呼吸会誌, 40(11): 869-874, 2002