レジオネラ肺炎:市中肺炎としての散発25例の臨床的検討
高柳 昇 松島 秀和 徳永 大道 生方 幹夫 佐藤 長人 倉島 一喜 柳沢 勉 杉田 裕 金沢 実
〒360-0105 埼玉県大里郡江南町板井1696 埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
市中肺炎散発例として当院で診療したレジオネラ肺炎25例の,臨床・検査所見,胸部X線所見,治療成績と推定される感染源について報告した.男性21例,女性4例,平均年齢60.1歳,喫煙者12例,大酒家5例,基礎疾患を有するもの18例であった.軽症3例,中等症7例,重症15例であった.本症に特徴的とされる40℃以上の発熱を6例,精神神経症状を10例,下痢を8例,比較的徐脈を8例,低Na血症を5例,低リン血症を4例,CPK1,000IU/l以上の横紋筋融解症を5例に認めた.7例は前医でのβラクタム薬投与中に急速に陰影が拡大した.来院時すでに敗血症性ショックであった1例を除き救命した.培養可能であった9例の菌はマクロライド薬,キノロン薬に薬剤感受性であった.感染源は温泉・公共入浴施設が13例であった.市中肺炎で上記所見のある例では積極的に本症を疑って診断し,早期治療に努めるべきであると考えた.
レジオネラ肺炎 市中肺炎 ヒメネス染色 気管支肺胞洗浄 パルスフィールド・ゲル電気泳動法
Received 平成14年5月29日
日呼吸会誌, 40(11): 875-883, 2002