極めて早期のCT画像を得られた末梢発生肺扁平上皮癌の1例
木村 智樹1) 浅野 文祐2) 若原 恵子1) 大橋 能理1) 水谷 宏1) 進藤 丈1) 堀場 通明1)
〒503-8502 岐阜県大垣市南頬町4-86 1)大垣市民病院呼吸器科 2)国民健康保険関ヶ原病院内科
症例は初診時65歳の男性,左下肺野の異常影にて初診.画像所見より陳旧性の炎症性変化と診断したが,胸部高分解能CT(HRCT)にてその近傍に,辺縁は不明瞭で不整な淡い濃度上昇域を認めたため経過観察とした.その後,約一年半の経過で同部に腫瘤影が出現した.CT下に極細径気管支鏡を用いて行った生検の結果,末梢発生肺扁平上皮癌と診断,病期はIA期であったため左肺下葉切除術を行った.診断時の胸部HRCT像及び手術標本の病理組織所見では,徳田の分類のびまん性間質増生型に相当した.肺野に発生することの多い腺癌では早期のCT所見の知見が多く得られているが,肺門部に発生が多い扁平上皮癌では末梢発生での早期の画像所見についての知見が乏しい.本例の診断前のHRCT所見は,早期の末梢発生肺扁平上皮癌像を示している可能性があると考えられる.
末梢発生扁平上皮癌 早期癌 高分解能CT(HRCT) スリガラス状陰影 CT下TBLB
Received 平成13年11月8日
日呼吸会誌, 40(11): 884-888, 2002