結核起因性血球貪食症候群の1例
良元 章浩1)2) 藤村 政樹2) 中村 裕行1) 中尾 眞二2)
〒920-8641 金沢市宝町13番1号 1)富山市民病院内科 2)金沢大学医学部血液・呼吸器内科
症例は59歳女性.呼吸困難と高熱で入院となった.入院時,重症肺炎と診断し治療を開始した.また汎血球減少をみとめたため,骨髄生検,穿刺を施行して血球貪食症候群と診断し,プレドニゾロンの内服で治療を開始した.しかし,状態が増悪し,人工呼吸器管理となった.左舌区の気管支肺胞洗浄液より抗酸菌塗抹でガフキー5号相当であり,肺結核と診断した.抗結核療法も開始したが,第8病日に永眠された.感染症関連血球貪食症候群では,誘因となる感染症はさまざまであり,結核関連の報告も26例ある.その特徴は粟粒結核等の重症な結核が誘因となることである.重症肺結核患者が白血球減少や血小板減少を呈したら,播種性血管内凝固症候群や骨髄内結核性肉芽腫形成,抗結核剤による副作用,hypersplenismなどの他に感染症関連血球貪食症候群も鑑別に入れ検査をすすめる必要がある.
Received 平成13年12月13日
日呼吸会誌, 40(11): 889-893, 2002