急性呼吸促迫症候群を合併した成人Still病の1例
三戸 克彦 山上 由理子 水之江 俊治 時松 一成 平松 和史 永井 寛之 門田 淳一 那須 勝
〒879-5593 大分郡挟間町医大ヶ丘1-1 大分医科大学第2内科
症例は24歳,女性.2週間以上発熱が持続するため入院となった.咽頭痛,関節痛,全身のリンパ節腫脹と発熱とともに消長するリウマトイド疹,肝機能障害,フェリチンの著増などがみられた.リウマチ因子と抗核抗体は陰性であり,成人発症Still病と診断した.入院5日目に呼吸不全を呈し,急性呼吸促迫症候群(acute respiratory distress syndrome;ARDS)と播種性血管内凝固(disseminated intravascular coagulation;DIC)と診断した.治療は人工呼吸器管理と副腎皮質ステロイド薬パルス療法施行,メシル酸ガベキサートの投与を行った.気管支肺胞洗浄液では総細胞数と好中球,リンパ球分画の増加を認めた.胸部X線写真で両肺野の浸潤影と血液ガス分析は徐々に改善した.シクロスポリンの追加投与により,成人発症Still病の症状はすべて寛解した.血漿中の炎症サイトカイン濃度は病状の改善とともに減少した.
成人発症Still病 急性呼吸促迫症候群 播種性血管内凝固 肺病変
Received 平成13年12月25日
日呼吸会誌, 40(11): 894-899, 2002