びまん性粒状影を呈したAIDS関連インフルエンザ桿菌肺炎の1例
古西 満1) 中村 孝人2) 善本 英一郎1) 高橋 賢1) 森 啓3) 前田 光一4) 濱田 薫1) 三笠 桂一1) 成田 亘啓5)
〒634-8522 奈良県橿原市四条町840 1)奈良県立医科大学第2内科 2)済生会中和病院内科 3)秋津鴻池病院内科 4)奈良県立医科大学総合医療・病態検査学 5)奈良厚生会病院
症例は32歳・男性.発熱,労作時呼吸困難が持続し,胸部X線写真上異常陰影と低酸素血症とを認めたため当科紹介入院となった.入院時白血球増多,CRP増加を認め,喀痰培養でHaemophilus influenzaeを分離した.胸部X線写真では両側下肺野を中心にびまん性粒状影,胸部CTでは下葉優位に小葉中心性粒状影を認めた.気管支鏡検査では淡黄色分泌物を多量に認め,気管支肺胞洗浄液(BALF)細胞分画では好中球優位で,細菌培養でH. influenzaeを分離した.経気管支肺生検では肺胞腔内への好中球浸潤を巣状に認め,細気管支肺炎の所見であった.またBALFのCD4/CD8比が0.09で,抗HIV抗体が陽性であり,HIV感染症に発症したH. influenzae肺炎と診断した.cefozopranの投与で肺炎は治癒した.HIV感染症に発症したH. influenzae肺炎は時に非典型的な胸部画像所見を呈するので注意が必要である.
Received 平成14年1月7日
日呼吸会誌, 40(11): 905-909, 2002