気管支内植物性異物(スギ小枝)と合併する放線菌感染による喀血の1例
藏井 誠1) 矢満田 健1) 小山 関哉2) 角田 敏行2) 五野 ひかり2)
〒399-0021 長野県松本市寿豊丘811 1)国立療養所中信松本病院呼吸器外科 2)国立療養所中信松本病院呼吸器内科
症例は54歳の男性.2001年1月19日に喀血を認めたため当院を受診した.胸部X線および胸部CTにて右肺S5に無気肺像を認めたが気管支鏡では異常を認めなかった.入院後も喀血を繰り返すため中葉切除を施行した.摘出標本にてB5末梢の気管支内に植物性の異物(スギ小枝)を認め,組織所見では異物の周囲に炎症性の変化及び放線菌の菌塊が存在し,喀血の原因と考えられた.術後経過は良好にて第14病日退院した.現在まで血痰や喀血は認めていない.気管支内植物性異物と合併する放線菌感染が繰り返す喀血の原因と考えられた非常に稀な症例を経験したので報告する.
Received 平成14年4月15日
日呼吸会誌, 40(11): 915-918, 2002